CAEメールニュース(No.2014-12)

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┃CAEメールニュース(No.2014-12)                2014.12.19┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋統合CAEアプリケーションツールセット「HyperWorks」のご案内
【2】CAE技術情報
╋波動現象入門講座 24回目 プラズマ中を伝播する波動
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ 統合CAEアプリケーションツールセット「HyperWorks」—————————

●HyperWorksは、CAEソフトウェアを中心としたさまざまなアプリケーションを1つのライ
センスメカニズムで利用する事ができる「ものづくり」のためのコンピューティング環
境です。

□HyperWorksアプリケーション(抜粋)———————————————–

HyperWorksは、ユニット数に応じ、複数のアプリケーションをご利用いただけます。
ライセンスサーバーから必要なユニット数を取得する事によって、各種アプリケーション
が利用できます。

・HyperMesh
┗有限要素解析プリポストシステム
・SimLab
┗高速・自動CAEモデリングおよびアセンブリ
・AcuSolve
┗汎用熱流体ソルバー
・OptiStruct
┗構造最適設計ソフトウェア
・HyperStudy
┗最適化、DOEおよびロバスト設計のスタディツール
・soledThinking INSPIRE
┗設計エンジニアのためのファイ年設計モデリング・シミュレーションソフトウェア
・soledThinking EVOLVE
┗3次元モデリングおよびリアルタイムレンダリング

詳細はホームページからご確認ください。
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/HyperWorks.htm

【パートナーアライアンス】
HyperWorksをレンタル使用されている場合、Altair社のパートナー企業のさまざまなアプ
リケーションを使用できます。
疲労解析・騒音/振動・流体解析・射出成形解析・鋳造解析・電磁場解析

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└■ 波動現象入門講座 24回目 プラズマ中を伝播する波動

一般に物質に熱エネルギを加えて温度を上げていくと、固体、液体、気体(物質の3態)
と相変化が起こり、さらに高温にすると気体分子は原子に解離し、ついには原子がイオン
と電子に電離して、全体として電気的に中性で、イオン、電子、および電離していない中
性分子から構成される高温の電離気体状態になります。このような物質の第4の状態はプ
ラズマと呼ばれます。常温では、電解質のような液体や、金属や半導体のような固体中で
も電子とイオン(あるいは正孔)が存在しプラズマ状態になっており、それぞれ電離気体プ
ラズマとは異なる特徴的な挙動をすることが知られています。ここではプラズマを電離気
体プラズマに限定して、その中を伝播するプラズマ波動についてお話しいたします。
オーロラ研究で有名なクリスチャン ビルケランド(1867-1917) が宇宙はプラズマで満
ちていると予測したように、星間ガス、太陽コロナ、電離層などはプラズマであり、太陽
からは太陽系の空間をプラズマの風である太陽風が吹きあれていることが知られています。
身近なところでは蛍光灯、ネオンサイン、稲妻、火炎などにプラズマ状態が見られ、また
未来のエネルギ源として期待される核融合にはプラズマが利用されます。このように広範
な分野の現象の研究は、今日プラズマ物理学として確立されています。
プラズマという言葉が電離気体の意味で使われだしたのは1920年頃で、界面化学の分野
への貢献でノーベル化学賞を受賞した、米国ゼネラル・エレクトリック社の研究者ラング
ミュアーによるものです。彼と共同研究者のトンクスは低気圧の気体を封入した放電管に
定電圧を与えて気体放電実験をしていたとき、明るい陽光柱と呼ばれる中央部分に、空間
的に荷電粒子群の振動が起こることを発見しました。これが生物分野で見出されていた原
形質内の粒子振動に似ていることからプラズマ振動と名付け、その波動としての伝播につ
いても議論しています。さらにこのような振動を引き起こす媒質にプラズマという名称を
与えています。以下ではプラズマ物理学発展の端緒となった、ラングミュアーらの研究に
触れたいと思います。
彼等はプラズマ振動を詳しく調べ、この振動の起こるメカニズムを明らかにしました。
これを定性的に説明すると、プラズマは電気的に中性を保とうとする強い傾向を持つので、
プラズマ中に何らかの原因で、一旦電荷の不均一が生じると、イオンと電子は中性を取り
戻そうとするために運動を起こします。そのときイオンは電子に比べて質量が非常に大き
いので動きが遅く、近似的には電子だけが運動すると考えることができます。電子が電荷
の不均一をなくする平衡点に達しても速度を持つために行過ぎてしまい、再び不均一が生
じます。そこでまた中性を取り戻そうとして電子が引き返す方向に運動を起こします。こ
のようなことを繰り返すことによって電子の振動が起こります。このプラズマ振動の振動
数は理論的には f=√{(e^2×n)/(ε×m)}/2π[Hz]で表わされ、ここにe は電子の電荷の
絶対値、nは電子の数密度(単位体積当りの電子の数)、εは真空中の誘電率、mは電子の質
量です。ラングミュアー等が行ったn=10^10 (1/cm^3)の場合の実験では、f は約10^9 Hz
で非常に高い振動数ですが、理論値は観測された振動数とほとんど一致しました。
プラズマ中の荷電粒子は温度に依存した速度で不規則に運動し、これらの粒子間で相互
作用が起こるので、このプラズマ振動は波動となってプラズマを伝播します。この波は一
定電場中の電子からなる気体(電子ガス)中を伝播するので、電子プラズマ波、単にプラズ
マ波、ラングミュアー波などと呼ばれます。詳細は省略しますが、電子に対する電荷の連
続の式、運動方程式と電場の方程式を連立して解くと、
波の位相速度Up=√(ωp^2/k^2+U^2)が得られます。ここに、ωp はプラズマ角振動数、
k=2π/λは波の波数(λは波長)、U=√(γκT/m)は電子ガスの音速を表わし、κはボル
ツマン定数、mは電子の質量, γ, Tはそれぞれ、電子ガスの比熱比と温度です。プラズマ
波の伝播方向は音波と同じように、粒子運動の方向と一致するので、これは縦波です。
プラズマは、中性の粒子からなる気体とは異なり、運動する荷電粒子の集合であり、各
粒子が自ら電場と磁場を生成すると共に、これらを通して相互作用をするので、中性気体
における音波に相当する縦波はもちろん、種々の形態の縦波や横波(気体であるにもかか
わらず)が励起されます。プラズマに外部磁場が作用する場合には、電磁波は多様な伝搬
をすることが知られています。

今回が「波動現象入門講座」の最終回となります。2年間にわたりお付き合いいただきま
してありがとうございました。
次回からは新シリーズ「最適化」を1年間の予定で開始しますのでこれまで同様よろしく
お願いいたします。

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└■ CAEセミナー・イベント情報—————————————————-

当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。

□ 統合プリポストプロセッサー「PreSys」 無料体験セミナー (2015/1/14 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/PreSys/PreSys_seminar.htm

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 紹介セミナー (1/16 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm

□ 「基礎構造講座」-衝撃工学の基礎-(1/20・21 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/strcture_semi.htm

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「塑性加工技術セミナー 初級編」(1/22 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm

□ 汎用熱流体解析ソフトウェア「AcuSolve」 紹介セミナー (1/23 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm

□ ブロー成形・樹脂シート熱成形プロセス解析ソフトウェア
「BlowView」/「FormView」紹介セミナー (1/28 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/BlowView/seminar1.htm

□ 統合CAEツール「HyperWorks」最適化セミナー (1/30 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/HyperWorks-seminar.htm

□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (1/30 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm

□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (2/3 東京)
※Jvision/LS-DYNAユーザ様対象のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm

□ 電磁界解析ソフト「INTEGRATED 電磁界ソフトウェア」 無料体験セミナー (2/4 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (2/12 東京)
※LS-DYNAユーザ様対象のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm

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└■ エッセイ「年の瀬」———————————————————–

あっという間に年の瀬。「寒い寒い寒いっ!!」と朝晩は芯から冷える今年の12月は、
暑がりな私からすると珍事でございます。さてさて、2014年も国内外を通して様々な出来
事がありました。ぱ~っと思いつくだけでも「2020年東京五輪決定」「全米テニスの錦織
圭の活躍」「LED発明によるノーベル物理学賞の受賞」その他にもアナ雪ブーム、デング
熱や消費税8%スタート、そして師走の総選挙等々…。そんな中、今年一番のマイイベン
トは、少し前の話で恐縮ですが札幌雪まつりの初観覧です。プロジェクションマッピング
で実物級の雪城に映し出される煌びやかな映像は目を見張るものがありました。(もちろ
ん食事も堪能いたしました。)
皆様にとって2014年は、どのような一年になりましたでしょうか?
仕事納めまであと僅か。今年一年を振り返りながら、健康に留意されてよいお年をお迎え
ください。来年もまた皆様にとってより良い一年となりますよう、心よりお祈り申し上げ
ます。
T.Kadoguchi
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└■ 購読者アンケート ————————————————————

購読者様へCAEメールニュースについてのアンケートをお願いしております。
ぜひご協力ください。

http://www.terrabyte.co.jp/example/mailnews/mailnews_sformmail.php

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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・ ・
急に冷えこんで来たと思えば今年も後わずか、とは言いつつ年末に向けバタバタしている
ところです。最後に体調を崩さないようもう少し頑張ります。
今年もご愛読ありがとうございました。
E.Ikeda
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☆ 発行:(株)テラバイト 東京都文京区湯島3-10-7 NOVビル5F 編集担当:池田 絵美
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