1.押出ブロー成形の課題
押出ブロー成形は、ダクト等中空製品の成形に用いられており、樹脂製品である為、形状の自由度に優れている。押出ブロー成形では、パリソンを金型で挟み込んで成形を行う為、製品形状に対して、型分割面(型PL面)を設定する必要がある。
パリソンを金型で挟み込む時、型PL面でパリソンが拘束され、この拘束位置によっては、空圧によるパリソン変形時に「折れ込み」と言った成形不良が発生する可能性がある。
2.解析事例
下図に示す、分岐するダクトの型PL面によるパリソン変形挙動をBlowViewを用いて比較検討する。
・解析条件
パリソン形状:φ100mm、長さ530mm、板厚4.0mm
金型条件:型開き方向に対して、型PL面を以下の3通りで設定
Case-①:成形品に対して、型開き方向の中間に型PL面を設定
Case-②:型開き方向に対して、直交する平面に型PL面を設定
Case-③:PL面を成形品の外面/内面で変化させ型PL面を設定
Case-① 型PL面
Case-② 型PL面
Case-③ 型PL面
3.解析結果
Case-①:成形品に対して、型開き方向の中間に型PL面を設定
Case-① 型閉じ工程~ブローアップ工程 Side方向&-ISO方向
Case-② 型閉じ工程~ブローアップ工程 Side方向&+ISO方向
Case-① 型閉じ工程~ブローアップ工程 Side方向&-ISO方向
Case-③ 型閉じ工程~ブローアップ工程 -ISO方向&+ISO方向(拡大図)
4.まとめ
押出ブロー成形用の金型で型分割面(型PL面)を決定する際、本解析例の様に折れ込みの発生を検討する必要があるが、パリソンの折れ込みは、金型との接触箇所及び、パリソンの変形が関連した挙動によって発生する為、経験則での判断が困難である。
成形シミュレーションを利用する事で、様々な型PL面に対して、パリソン折れ込みの有無を事前に評価する事が可能となり、この結果から早期に金型の型PL面を決定する事が出来、後々の金型修正費用等の発生を防ぐ事が出来る。