OpenFOAMを用いた流動層の連成解析

OpenFOAMを用いた流動層の連成解析

はじめに

粉粒体をつめた容器の下部から気体を流入させると,粉粒体の間に気体の流れが発生し,粉粒体が流動化されるようになります。このような粉粒体の流動化を利用した流動層は,石炭の燃焼やガス化の装置,都市ごみなどの廃棄物処理,バイオリアクター,医薬品造粒や食品乾燥などさまざまな分野で使用されています。

 

EDEMではCFDソルバーと連成させることで流動層の解析を行うことができます。

 

 

この事例では,CFDソルバーとしてOpenFOAMソルバーを用いた流動層の解析事例をご紹介します。

 

解析モデル

流動層の解析モデルを以下に示します。

 

 

 

容器下部から,空気が流入することで粒子が流動化します。流動状態になった粒子の挙動は,流入空気の流速や粒子の密度に依存し変化します。この事例では,流入空気の流速と粒子の密度を変えた場合の粒子の流動状態を解析します。

 

粒子(直径2mm)として,密度の異なる3つの粒子,ガラス粒子,セラミック粒子,鉄粒子を用います。

 

粒子の密度
種類 密度 [kg/m3]
ガラス 2600
セラミック 5600
7800

 

流入空気の流速は,ガラス粒子の場合には7.5m/sから75m/s,セラミックス,鉄粒子の場合には15m/sから90m/sまで変化させた6ケースの解析を行いました。

 

解析結果

流動層の圧力損失

流入流速が遅いと粒子は下部にとどまりつづけますが,粒子の速度が流動開始速度に達すると粒子が流動化状態となります。下の図中の赤点線は,今回の解析で得られたおおよその流動開始速度を示しています。流動層内の気体の圧力損失は流動開始速度に達するまでは大きくなりますが,流動層が形成されると低下します。      

粒子の挙動

以下の動画はガラス粒子の挙動を示しています。流入する気体の流速が,粒子の流動開始速度に達するまでは粒子の流動は始まりません。しかし,流動開始速度を超えると流動層上部で粒子の噴出が発生していることが確認できます。

 

流入流速 7.5m/s (ガラス粒子)

流入流速 60m/s (ガラス粒子)

 

まとめ

この事例では,EDEMとOpenFOAMの連成解析の例として流動層の解析結果を示しました。EDEMに流体力を外部CFDソルバーから取り込むことで,流体の流れが粒子挙動に影響を与える場合の解析ができます。外部CFDソルバーとして,AcuSolveを用いた例はこちらでご覧になれます。

 

 

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