EDEMによるV型混合器の非球体粒子攪拌解析
1. はじめに
V型混合器(もしくはV型ミキサー)は、V型の容器全体を回転させることにより、2種類の粒子が分散・集合を繰り返し混合していく攪拌装置です。主に形状の近い粒子の混合を対象としており、一般的に粒子に作用する力が低く、粒子にやさしい混合方法と言われています。適切な回転速度については様々な実験がおこなわれており、粒子や混合器の寸法に応じて定式化されています。しかしながら粒子形状が非球体の場合、適切な回転速度の予測が難しくなります。
本資料では、アルテア社の個別要素法(DEM)ソルバーEDEMを利用し、回転速度を変更した際の非球体粒子の混合状況の違いを調査しました。図1にモデル概要を、2種類の粒子形状を示します。なお、全ケースで計算時間は35秒としました。
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表1に計算ケースを示します。
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2. 計算条件
図3に計算条件を、表2に各ケースの粒子諸元を示します。
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3. 計算結果
図4に、各計算ケースの粒子の混合状況のアニメーションを示します。
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図5に、1回転毎の攪拌率を示します。全てのケースで計算時間を35秒に統一したため、ケースによって回転回数は異なります。また、図6に経過時間に対する混合率を示します。
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ケース2(40rpm)が1回転における混合効率が最も高い結果となりましたが、回転速度の速いケース3(50rpm)と同程度の攪拌率となりました。
4. まとめ
① EDEMを利用する事で、V型混合器内部の混合していく様子を確認することが出来ます。
② 混合状況の予測が難しい非球体の粒子形状でも、EDEMを利用する事で、適切な攪拌条件を調査する事ができます。
(マルチ球体法により、非球体形状を直接表現する事が可能。パラメターによる合わせ込み作業が不要)
③ 容器のCADデータを入れ替えるだけで、様々な容器の混合状況を確認できます。
④ EDEMは、実験では入手しにくい各時刻の全粒子の位置座標や速度を確認できます。他にも、、、、
・ 粒子や機器に作用する力など、様々な結果情報を確認する事もできます
・ 混合器内部の様子を確認できるため、攪拌中の粒子挙動を確認できます
・ 自由に粒子を着色する事ができるため、混合状況を目視できます