概要
PIN給電の円形パッチアンテナを解析した事例を紹介します。
パッチアンテナは、誘電体基板の表面に放射素子、裏面に地導体板を印刷した平面アンテナです。
ここで解析するパッチアンテナは、電子情報通信学会エレクトロニクスシミュレーション研究会において、規範問題の一つとして公開されているものです。
円形パッチアンテナ(PIN給電)のモデル
図1は、円形パッチアンテナ(PIN給電)のモデルです[1][2]。円形パッチは半径16.8mmの完全導体面です。給電PINは中心からX方向に5.1mmだけオフセットして配置します。基板は大きさが80×80×1.53mm3、比誘電率が4.3の誘電体で、裏面は完全導体のグラウンドとします。
[1] 電子情報通信学会エレクトロニクスシミュレーション研究会 http://www.ieice.org/es/est/activities/canonical_problems/
[2] 平野 拓一、岡部 寛、大貫 進一郎, “電磁界シミュレーション規範問題 -コネクタを含む励振部のモデル化-,” 2014 Microwave Workshops & Exhibition (MWE 2014), ワークショップ07, 2014年12月11日
● 解析結果
このモデルをMoMソルバーで解析した結果を、実測結果[1][2]と合わせて示します。
反射特性(振幅)
図2:反射特性の振幅
基本モードの共振周波数は、解析値2.47GHz、実測値2.45GHzで、良好に一致しています(相対誤差0.8%)。
反射特性(位相)
図3:反射特性の位相
基本モード付近では良好に一致しています。
放射パターン
図4:周波数2.44GHzの放射パターン
まとめ
算出したSパラメータは、実測結果とよく一致していることが確認できます。