SINGULAを使って、大規模なフェーズドアレーアンテナを解析することが可能です。このアンテナは電子的にビームの方向を変えるために使うことができます。以下に示すような、様々な問題に適応可能です。
・航空宇宙や防衛関連産業
・衛星通信
・リモートセンシング
・合成開口レーダー(SAR)
・Moving Target Indicator (MTI)
このアンテナの解析では、任意の素子アンテナ間における相互結合を考慮することになるため、フェーズドアレー放射特性を見積もるためには非常に大規模な解析モデルを要します。SINGULAでは、通常使用するモーメント法(MoM法)にFFT法を組み合わせることで、以下に示すような大規模なフェーズドアレーアンテナの放射特性を計算すること可能です。
以下に、大規模なマイクロストリップ フェーズドアレーアンテナの解析方法を説明します。
● 形 状
アンテナ1素子の形状を図1、図2に示します。JINA2006-testcase2から取り出したものを示しています。
図1 素子アンテナ(上面)
図2 素子アンテナ(側面)
基板の比誘電率および比透磁率はそれぞれ、 を設定しています。
図3に素子アンテナを縦横10×10並べたアンテナ、図4に縦横20×20並べたアンテナを示します。桃色の部分は完全導体でモデル化されています。
図3 フェーズトアレー゙アンテナ解析モデル
(10×10)
(20×20)
● 解析結果
図5~8に異なる計算手法、異なる計算精度で得られた計算結果を示します。
図5 10×10 アンテナにおける指向性利得
(FFT法を使用)
図7 20×20アンテナにおける指向性利得
(FFT法を使用)
(MoM法のみを使用)
(FFT法を使用)
● コメント
- 図6に示す解析では、未知数154140、単精度LU分解で計算しています。
計算環境はIntel Xeon E5430 Quad Cores CPU×2、32GBメモリを搭載したPCです。
計算時間は46:15:05です。 - 図5に示す解析では、FFT法を使用しており、未知数146820、倍精度反復計算手法で計算しています。
反復計算の計算精度を0.001に設定しています。図6と同様の計算機環境において、計算時間は1:24:34です。
図5の結果から、FFT反復計算手法の利用は計算精度を損なうことなく、計算結果を短時間で得ることが可能となることは明らかです。 - 図7に示す解析では、未知数692923、倍精度反復計算手法で計算しています。
図5の解析ケースと同様の計算条件で、計算時間は32:22:58です。
提供:Integrated Engineering Software Inc.