ハードディスクなどに用いられているスピンドルモーターの解析事例を紹介します。
模型などでよく利用されている、私たちがよく見かけるタイプのモーターはステーターの内側にローターがあります。しかし、この事例で紹介するモーターでは、ステーターがローターの内側にあるのが特徴です。
このような構造のモーターは他にもあります。
例えば、自動車で利用されるインホイールモーターや洗濯機のダイレクトドライブタイプのモーターです。
このような構造のモーターでは磁石を多く使えるので、高トルクを実現できるためです。
本事例で紹介するスピンドルモーターは120度の周期性があるので、周期境界条件を用いて、解析モデルを 1/3 に縮小しています。
このスピンドルモーターのN-T特性解析などについて、紹介します。
IPMモーターのNT解析と同様に、回路を設定します。
● 解析結果
IPMモーターのN-T解析と同様に、回転数を変数として、パラメトリック解析しています。
この機能を用いることで、回転数の変更とその結果としてのモーターの特性を簡単にまとめることが出来ます。
図5にトルクと回転数の関係を示します。回転数の上昇とともに、トルクが低減することがわかります。
回転数の影響はトルク以外にも現れます。
図6はステーターコアの鉄損と回転数の関係を示したグラフです。このように、トルクだけでなく、他の物理量と回転数の関係を調べることも容易です。
JMAGでは、任意の場所における、物理量(磁束密度など)の定量評価を行うことが出来ます。
図7の測定位置1(ステーター中央断面に存在)における、半径方向の磁化の時刻歴(電気角1周期に相当)を図8に示します。回転数が高い場合、電源のスイッチング間隔が短くなるため、ステーターコアは磁化されづらくなる傾向を示しています。
JMAGには、このような研究指向的なツールも備えられており、製品開発に役立てることができます。