概要
JMAGの磁界-構造連成解析機能を利用したモータの振動解析事例を紹介します。モータに働く電磁力によって、振動が発生します。この振動はモータが共振することによる影響が大きいので、磁界解析とモード法による周波数応答解析の連成解析を実施し、電磁力モードと共振現象を把握します。周波数応答解析では、まず固有値解析を実行し、固有振動数、固有ベクトルを計算します。その後、固有モードと電磁力を連成し、モータの定常加振状態における応答を計算します。
磁界解析の計算条件
図 1に磁界解析の解析モデルを示します。4極12スロットIPMモータを1/4対称(反周期境界条件)の断面形状で2次元磁界解析を実施します。定常回転時のステータコアに働く電磁力を計算します。
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構造解析の計算条件
図 2に構造解析の解析モデルを示します。ケース、ステータコアをソリッド要素、シャフトをビーム要素、ロータコアを集中質量でモデル化します。シャフトの両端とケース間は剛体結合、その他の部品間は節点共有とします。拘束条件は、ボルト穴を固定とします。磁界解析で求めた電磁力分布を構造解析モデルのステータコアにマッピングします。
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電磁力解析の解析結果
電磁力分布の時刻歴データに対して、フーリエ変換を行うことによって、図 3に示すような周波数ごとの電磁力分布を得ます。この電磁力分布を振動解析モデルのステータコアにマッピングします。
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振動解析の解析結果
電磁力解析モデルで求めた電磁力と固有値計算で求めた固有モードを用いて、周波数応答解析を実施します。図 4に周波数-加速度特性と加速度が最大となる周波数における変形モードを示します。加速度が最大となり、1000Hzでケース・ステータコアが四角く潰れる変形モードであることが分かります。
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電磁力から振動までの一連の評価がJMAGで可能であり、磁界-構造連成解析機能はモータの振動対策に役立てられることがわかります。