OpenFOAMによるインクジェットの多色着弾
1. モデル説明
OpenFOAMのmultiphaseInterFoamソルバーを用いて、物性の異なる三色のインク(シアン、マゼンダ、イエロー)を、ガラス基板上に順番に着弾させる解析をおこないました。(補足:multiphaseInterFoamでは、immiscibleな複数の液体を計算することができます)
ノズルとガラス基板の距離は10mmとし、液滴の速度が約10m/sになる様に、シアンから順番にインクを吐出しました(図2参照)。また、ガラス基板には接触角を、インクと空気界面には表面張力係数をそれぞれ設定しました。
図1にモデルの概要図を示します。
インクの物性値
◆ シアン 動粘性係数=0.9949e-5 m2/s
◆ マゼンダ 動粘性係数=1.002e-5 m2/s
◆ イエロー 動粘性係数=0.9918e-5 m2/s


2. 解析結果
斜め上方向から見た液滴が着弾する様子と、中心断面における流速分布を示します。
3. 解析結果
・ OpenFOAMでは物性の異なる複数のインクのインクジェット解析を行えます。
・ OpenFOAMのVOF法は、空気の流動も考慮することができるため、液滴やサテライトに影響を与える空気の流れも確認できます。
4. 補足(multiphaseInterFoamの設定)
OpemFOAMでは、multiphaseInterFoamソルバーを利用すると、水と油と空気等、自由表面を考慮したimmisibleな流体解析を実施できます。Foundation版のver8のmultiphaseInterFoamの設定方法を、水と油と空気の3相の計算を例に説明します。
0フォルダ
水、油、空気の流体率(0~1までのスカラ値)を指定したファイルを準備する必要があります
水:alpha.waterファイル
油:alpha.oilファイル
空気:alpha.airファイル
constantフォルダ
transportPropertiesファイルにおいて、phases()内に水と油と空気の物性値(動粘性係数と密度)を、sigmas()内に各材料間の表面張力係数を指定します。
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phases
(
water
{
transportModel Newtonian;
nu nu [ 0 2 -1 0 0 0 0 ] 1e-06;
rho rho [ 1 -3 0 0 0 0 0 ] 1000;
}
oil
{
transportModel Newtonian;
nu nu [ 0 2 -1 0 0 0 0 ] 5e-04;
rho rho [ 1 -3 0 0 0 0 0 ] 1100;
}
air
{
transportModel Newtonian;
nu nu [ 0 2 -1 0 0 0 0 ] 1.48e-05;
rho rho [ 1 -3 0 0 0 0 0 ] 1;
}
);
sigmas
(
(air water) 0.072
(air oil) 0.072
(water oil) 0.1
);
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参考チュートリアル:
/OpenFOAM-8/tutorials/multiphase/multiphaseInterFoam/laminar/damBreak4phaseFine/system/controlDict:applica