回転するローターを含む自由表面解析

回転するローターを含む自由表面解析

解析概要

図1にチョコレートの分散処理などに使われる装置の解析モデルを示します。流入口から液体を回転するローターに向かって流し込みます。液体は遠心力により、ローター側面の穴から押し出され、流出口から排出されます。
粘度の違いによる、装置にかかる負荷や流れの様子の変化を解析(表面張力モデルに改良を施した自由表面解析ソルバーを使用)で評価します。
表1に示すように、液体の粘度を変更し、 2ケース解析した結果を示します。

  • 非圧縮流体の自由表面解析(VOF法)
  • ローターの回転は移動メッシュ(AMI)を使用

表1 各ケースにおける液体の粘度

ケース1 10,000 cP

(10Pa・s)

ケース2 1,000 cP

(1Pa・s)

 

図1 解析モデル

解析結果

界面の様子

粘度が高いケース1の方が抵抗が大きくなり、ローター内に残りやすくなっています。

また、メッシュ解像度を上げることで、より細かい液滴まで再現可能となります。その分、計算負荷が大きくなりますが、OpenFOAMはライセンスフリーのため、並列計算によって計算時間の短縮が見込めます。

ケース1(高粘度)

ケース2(低粘度)

ローター側面のせん断応力分布

図2に流体によってローター側面に作用するせん断応力分布を示します。粘度が高いケース1の方が壁面に発生するせん断応力が大きくなっています。

 

図2 ローター側面のせん断応力分布(左:ケース1(高粘度)、右:ケース2(低粘度))

断面における流速分布

図3の断面での流速分布を図4に示します。

流動抵抗は粘度に依存するため、速度分布が変化します。粘度が低い方が抵抗が小さく、大きな流速が発生しやすくなっています。

図3 出力断面

図4 流速分布(左:ケース1(高粘度)、右:ケース2(低粘度))

まとめ

  • 流入、流出がある回転するローターの自由表面解析が可能
  • 粘度の違いによる流れの様子の変化を確認できる
  • 壁面せん断応力分布を出力可能
  • 任意の断面における流速分布、流速ベクトル等を出力可能
  • 細かい液滴を再現する高いメッシュ解像度の場合でも、ライセンスフリーで大並列計算が可能
  • 着色機能を使うことで、均一に処理できるかを調べることも可能

以上により、粘度や形状の変更によって変化するせん断や流速等を調べることで、効率的な分散処理方法の検討にOpenFOAMを利用できます。

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