はじめに
高流動コンクリート(フレッシュコンクリート)の流動性に影響する項目として、以下の様々な要因が考えられます。
・ モルタルの物性値
・ 粗骨材の物性値、粒径分布
・ 流動障害の隙間の大きさ
・ モルタルと粗骨材の割合
など
今回は、シミュレーションによって、 U字型フロー試験のコンクリートの流動性を評価した解析事例を紹介します。
弊社独自のカスタマイズを施し、CFD(VOF)-DEMのカップリング解析を行いました。流体部分を自由表面解析( VOF法)で解くことによって、計算時間の短縮を図っています。
解析条件
解析概要
はじめにA室にコンクリートを充填させ、 B室の液面高さの時間変化(充填の早さ)を見ることで流動性を検証します。
粗骨材割合を変更することでモルタルと粗骨材の比率を調整し、流動性の変化を調査しました。
また、粗骨材割合60%のケースで、格子(流動障害)ありとなしの場合を比較しました。
粗骨材割合 | 粒子数 | 格子 | |
ケース1 | 低 | 約3000 | あり |
ケース2 | 高 | 約6000 | あり |
ケース3 | 高 | 約6000 | なし |
境界条件
・A室、B室の上面は大気開放
・Y軸最大の面を対称面
・それ以外は格子を含め、滑りなし壁面
物性値
自由表面解析(VOF法)により、モルタルと空気の界面を解きます。
密度[kg/m3] | 粘度モデル | |
空気 | 1.2 | ニュートン流体 |
コンクリート(モルタル) | 1517 | Hershel-Bulkleyモデル |
粒子設定
・粗骨材を模擬する粒子の密度:2670[kg/m3]
・初期配置:A室にランダムに配置
・粒子径分布:格子間隔(Lとする)の15~70%の粒子径
解析結果
アニメーション
モルタルと空気の界面を半透明の水色、粒子は粒子径で色付けしています。
ケース1 粗骨材割合:低、格子あり
ケース2 粗骨材割合:高、格子あり
ケース3 粗骨材割合:高、格子なし
B室の液面高さ
- ケース1、2から、粗骨材割合が高いと、大幅に流動性が低くなる。
- ケース2、3を比較すると、ケース2は格子によりせき止められている。
以上により、シミュレーションによって、粗骨材の割合や格子の有無がコンクリートの流動性へ与える影響を評価することができます。