OpenFOAMによるインクジェットノズルの検討
1. はじめに
インクジェットの印刷精度は、サテライトの影響を強く受けます。サテライトの形成状況は、インクの物性の他に、吐出速度やノズル形状によっても変化します。特にノズル形状は、シミュレーションをベースに開発すると、実験ベースの開発に比べ、コスト、期間とも大幅に削減することができます。この際、シミュレーションの飛翔途中の液滴形状の再現が重要となります。
OpenFOAMはライセンスフリーの熱流体解析ソフトのため、ライセンス費用を気にすることなく、多人数でシミュレーションを活用した製品設計に利用できます。
2. モデル説明
本解析事例では、OpenFOAM®のVOF法のソルバーinterFoamを用いて、図1に示すノズル形状の違いによる液滴形状やサテライトの様子を比較しました。
タイムBでは、タイプAに比べ、エッジ部を削り、ホール径を若干広げました。ノズルには接触角をインクには表面張力係数を設定しました。


3. 解析結果
各ノズルド形状の代表時刻における液滴の様子を示します。ノズルの微小な形状の違いで、液滴やサテライトの形成状況が変化します。
4. まとめ
・ OpenFOAMは、ノズル形状の違いによる液滴やサテライトの形成状況を予測できるため、インクジェットのノズル開発に活用することができます。
・ 時間テーブルでインクの吐出速度を時間変化で指定することもできます。
・ OpenFOAMでは、様々な非ニュートン流体の粘度モデルを利用することができます
(例えば、PowerLawモデル、Carreauモデル、Herschel-Bulkleyモデル等)
5. 補足説明(テラバイトのサービス)
OpenFOAMはライセンスフリーの熱流体解析ソフトで、ライセンス費用を気にすることなく、何人でも、何並列でも自由に計算することができます。その反面、親切なマニュアルが存在しないなど、ソフトの習熟に関しては、基本的にユーザー自身で調査し進めていく必要があります。
弊社は、サポートや入力ファイルの作成、環境構築支援、トレーニングなど、様々なサービスを提供しております。
OpenFOAMのサービス
また、初めてOpenFOAMを操作してみたい方向けに、汎用のトレーニングコースも準備しております。受講者には、インストールマニュアルも提供しています。
トレーニングコース