CAE Q&A 衝撃解析と静解析の違い

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CAE Q&A 衝撃解析と静解析の違い

CAEの実務に役立つ技術情報をQA形式で解説するコーナー





Question:衝撃解析や動的解析は静的な構造解析とどのように違うのですか?

Answer:

それぞれの解析で「構造物に力が加わったときに発生する応力や変形」を求める場合を考えてみましょう。静的構造解析では、構造物に作用する力が構造物の剛性と釣り合う定常状態を解析対象とし、力が加わる過程の動的・過渡的な挙動は問題にしません。これに対し、衝撃解析や動的解析では、構造物の慣性や減衰特性を考慮し、力が加わる過程の挙動も解析対象となります。外力が一定の場合は、時間が経過すると減衰などにより運動量が失われ、動的挙動は静的な定常状態に落ち着きます。一方、外力が時間とともに変化する場合は、強制振動が生じ、静的な場合と区別されます。


瞬間最大応力は静解析では捉えられない

静的解析の結果は、構造物にはたら く応力や変形は時間によらず一定となりますが、衝撃解析や動的解析で得られる応力や変形は時間とともに変動し、静的解析の結果とは大きく異なります。例えば、静的解析結果では大きな引っ張り応力が発生している箇所でも、衝撃解析では圧縮応力状態と引っ張り 応力状態が交互に現れ、一時的に静的応力値の何倍もの大きな応力が発生するような現象を再現することができます。衝撃解析が可能なソフトウェアは、構造材料中を伝播する応力波に着目した解析手法を採用していて、このような現象を捉えることができるようになっています。したがって、衝撃荷重や動的荷重を受ける構造物に対して、静的解析結果を基にした設計安全率を推定するには十分な注意が必要です。

材料の動的特性が結果に影響

このほか、衝撃解析には静的解析では考慮されない材料固有の動的特性が影響します。この特性は、一般にひずみ速度依存性や粘弾性効果と呼ばれます。材料は速い現象に対してより強い抵抗を示す特性があります。材料の引っ張り試験では、ゆっくり引っ張る場合に対して速く引っ張る場合では計測される荷重値が1.5倍以上になることもあります。静的解析ではそれほど大きくない構造の反力でも、衝撃解析では思いもよらない大きな反力となることがあります。
また、延性材料では、衝撃荷重を受けると脆性的になり、破壊の様子が変化します。衝撃解析ではこのような材料特性を考慮して解析を実行する必要があります。






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