OpenFOAMによるゴム材料の流動解析

OpenFOAMによるゴム材料の流動解析

OpenFOAMによるゴム材料の流動解析

1. OpenFOAMについて

OpenFOAMはGPLに準拠したオープンソースコードのソルバーです。ソースが公開されているため、ユーザは自由にカスタマイズし、不足している物理モデルや特殊な材料特性等の機能追加が行えます。
ゴム材料の粘度モデル式をOpenFOAMに組み込み、流動解析を実施した事例を紹介します。

2. ゴム材料の計算に必要な機能

ゴム材料は、成形工程において加硫剤の化学反応により3次元の網目構造が形成されます。網目構造の形成状況に応じて粘度は変化します。このため、一般的な熱可塑性樹脂の解析とは異なり、ゴム材料では加硫反応の進行の評価とこれに伴う粘度変化を考慮した計算が必要になります。また、型からの熱の伝わりや反応発熱などの熱計算も必要になります。


3. 支配方程式

実測データを元に粘度モデルを構築し(Saekiモデル)、加硫反応速度を考慮したゴム材の流動ソルバーをOpenFOAMに組み込みました。運動方程式は、肉厚キャビティ内の流動が再現できるようにNavier-Stokes方程式を採用しました。また、キャビティ内にトラップされるエアーの挙動が追跡できるように、空気の流動も解く2相流モデルを採用しました。


4. 適用例

円柱キャビティにゴム材料を充填する解析例です。反応進行速度が異なる2種類の計算を行い、結果を比較しています。反応の進行が遅いケースでは粘度が低い状態が持続し、反応が早いケースでは粘度が短時間に上昇しています。

反応が遅いケース

ゴム材料は直線状に落下し、同心円状に床に広がる

反応が早いケース

粘度が上昇し、激しく乱れながらキャビティを満たす