ウレタン発泡流動解析 パラメータ検証実験(1)
ウレタン樹脂の発泡成形では、金型内の製品形状キャビティ内に発泡樹脂が十分に充填されるように材料注入量や発泡倍率を調整します。OpenFOAMで開発したウレタン樹脂発泡流動解析ソルバーが、この体積変化(比容積変化)を再現できているかを検証する実験を行いました。
実験概要
発泡材を円筒容器内で発泡させ、体積の時間変化を測定します (図1 )。容器内の化学反応を均一化するため、主剤と硬化剤はハンドミキシングで混合します。主剤と硬化剤を混ぜた瞬間から発泡反応と硬化反応が同時進行します。発泡が終わって体積膨張が止まった後も硬化反応は続きます(表1 )。
実験では、断熱材などに使用される市販の硬質ウレタンを使用し、2分程度で約20倍に膨張しました。車のシートなどに用いられる軟質ウレタンとは異なり、硬質ウレタンはスポンジ状にはならず、反応後は手で押しつぶせないほど硬くなります。
計算結果との比較
測定した体積変化は硬化・発泡反応に比例すると仮定し、解析で使用するKamalモデル[1,2,3]のフィッティングパラメータを算出します。解析では、算出したパラメータを設定することで、Kamalモデルの反応速度式に従って樹脂の体積が増加します(図2)。
比容積の時系列変化は実験と一致する結果が得られています(図3 )。
また、材料に応じた粘度パラメータ[3]を設定することで、界面の形状が再現できます(図4 )。
発泡現象は体積が膨張しながら硬化が進むため、解析に必要なパラメータの測定は困難な場合が多いのですが、開発したウレタン発泡流動解析ソルバーで用いるKamalモデルのパラメータは、今回紹介した簡単な実験で算出することができます。
関連記事/関連ページ