コンクリートの流動解析
コンクリートの流動を解くには
コンクリートは、セメントと細かい砂(細骨材)を水で練ったモルタルに、大きめの砂利や砂から成る粗骨材を混ぜ合わせて作られます。高流動コンクリートの充填性などを評価する流動解析には、コンクリートをモデル化する様々な解析手法があります。例えば、離散要素法(DEM)を使って粒子のみで解く手法、有限要素法(FEM)、有限体積法(FVM)で連続体として解く手法、DEMとFEM,FVMを組み合わせた方法などがあります。
粒子として解く場合(DEM)
DEMのみで解く場合は、モルタルも骨材もすべて粒子としてモデル化します。DEMは粒子同士の衝突を考慮でき、砂や粉体など個別粒子としての解析を得意とします。粒子追跡では、すべてを粒子として扱うために膨大な粒子数を扱う必要があり、計算負荷が高くなります。
スランプフロー試験では、粒子同士の摩擦力などを調整することで、実現象を再現する結果が得られます。
連続体として解く場合(FEM, FVM)
有限要素法や有限体積法だけで解く場合は、粗骨材の影響が小さいと仮定し、コンクリート全体を連続体としてモデル化します。この方法は、モルタルのレオロジー特性を推定するのに適しています。しかし、粗骨材同士の衝突や粗骨材が流体に与える抵抗を考慮しないため、粗骨材を多く含む場合の流動の再現は困難になります。
スランプフロー試験では、ビンガム流体の粘度モデルを使用し、適切な粘度パラメータを設定することで、実現象を再現する結果が得られます。
粒子と連続体を組み合わせた場合( DEM+FVM )
粒子と連続体を組み合わせたコンクリートの解析手法では、モルタルを連続体、粗骨材を粒子で解くことで、全体を粒子でモデル化するよりも計算負荷を軽減できます。連続体を解くことでモルタルのレオロジー特性を再現しつつ、粒子が連続体から受ける抗力を計算して粗骨材の挙動も追跡します。なお、このテーマではほとんど影響しませんが、この計算手法では、粒子に作用する揚力や浮力も考慮することが可能です。
以下にOpenFOAMによる解析事例を示します。OpenFOAMには、FVMにより連続体を解くソルバーとDEMにより粒子を解くソルバーの両方があります。オープンソースであることから、自由にプログラミングができるため、これらを組み合わせたソルバーを作成することで、解析が可能です。