Mat. Curve Modeller:
遅れて来たもう一つの材料データ作成ツール – 3
最適化ツールの機能の向上と相まって、非線形材料データの作成方法、検証方法は多くの研究者、企業からの提案があり、商品化もされています。弊社でも、独自の視点を形にした材料データ作成ソフトMat. Curve Modellerを2021年11月にリリースしました。
今回はMat. Curve Modeller の最もベーシックな機能に焦点をあてて解説します。
Mat. Curve Modeller のカーブ定義方法
Mat. Curve Modellerの入力ファイルはLS-DYNAの入力ファイルによく似ています。そのため、テキストエディタでMat. Curve Modeller用の入力ファイルを作成し、柔軟にカーブデータを作成することが可能です。
わずか3点のデータポイントで滑らかな曲線を作成する
図1に示す内容をテキストエディタで作成し、図2に示すようにMat. Curve Modellerに入力してみましょう。2点目の(0.5, 30.0)には、「bzr, 5」という情報が追加されています。 Mat. Curve Modellerでは、この点がどのように扱われるか、注目してください。
図3にLS-PrePostを使って、図1のデータをプロットした結果を示します。2本の直線をつなぎ合わせたグラフが表示されます。図4にMat. Curve Modellerによる処理結果を示します。2点目(0.5, 30.0)にカーブは通らない結果となっています。「bzr, 5」とすることで、ベジエ曲線の重み点として扱われるためです。重み値を変更すると、カーブ形状が変化することがわかります。ぜひ試してみてください。
応用してみよう
図5に示す内容はどのようなグラフになるでしょうか?答えを図6に示します。グラフを見て、ピンときた方は破壊のモデリングにお悩みかもしれませんね。最適化ソフトと組み合わせて、データ作成が可能です。もっとも、設計変数が各データポイントの座標とベジエ曲線の重み量となるため、設計変数が多すぎて、最適化計算が収束しない可能性は否めません。数理モデルなどで粗々なカーブ形状を作成してから、ベジエ曲線でカーブ形状を置き換えたのち、重み量を微調整するなど、ひと手間が必要かもしれません。
まとめ
Mat. Curve Modeller のベーシックな機能を紹介しました。ベーシックですが、応用次第では、SSカーブだけでなく、破壊パラメータのカーブを作成することも可能であることを示しました。
関連ページ/参考文献
[1]竹越、” 非線形材料データ作成方法の検討”、日本機械学会 M&M2019 講演論文集.
[2]竹越、”ベジエ曲線を利用した非線形材料データ作成方法の検討”、日本機械学会 M&M2018 講演論文集.
[3]劉 厳, 葛 漢彬, 康 瀾、”低応力三軸度下における鋼材の延性破壊条件の提案に関する研究”、土木学会論文集A1、2019 年 75 巻 4 号 p. I_333-I_344
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