Mat. Curve Modeller:
遅れて来たもう一つの材料データ作成ツール – 10
最適化ツールの機能の向上と相まって、非線形材料データの作成方法、検証方法は多くの研究者、企業からの提案があり、商品化もされています。弊社でも、独自の視点を形にした材料データ作成ソフトMat. Curve Modellerを2021年11月にリリースしました。以下に、開発者によるコラムをお届けします。
今回はMat. Curve Modeller で利用機会のあるWSLとgnuplotに焦点をあててみます。
WSLとMat. Curve Modeller
WSLは、正確さにかける説明かもしれませんが、ざっくりといえば、Windows 10 Ver.1904 以降で利用可能なLinux環境(仮想マシン)であり、Microsoft 公式のWindowsの機能です。Microsoft社のCEOがスティーブ・バルマー氏だった頃は、Microsoft社はLinuxを毛嫌いしていたことを考えれば、WSLは驚きの機能といえます。仮想マシンといえば、VMwareやVirtual Boxが有名ですが、導入の敷居の低さを考えれば、WSLは最も気軽に利用可能なLinux環境と言えると思います。なにせ、最新のWindows 10 (Ver. 2004 + 2021年7月Cパッチ適用) やWindows 11 からはコマンドライン1行だけで導入可能なのですから。
Mat. Curve Modeller はその前身となるソフトウェアを含めて、Linux環境で開発が進められてきました。今更、Windows環境に移植することは様々な事情があって大変です。WSLの登場は渡りに船で、 Windows環境でMat. Curve Modellerがご利用いただけるようになりました。
グラフ作成のための準備
Mat. Curve Modeller はカーブデータ作成に特化したツールですから、グラフを作成することは必要不可欠です。Linux 環境でグラフを作成するには gnuplot を使うことになります。Mat. Curve Modeller の GUI では、グラフはMatplotlib を使って作成されていますが、実はgnuplot でグラフを作成するためのスクリプトをMat. Curve Modeller で出力することが可能です。
図1にgnuplot 用スクリプトを出力する設定を示します。該当箇所のチェックボックスにチェックをいれるだけです。図2にコマンドラインから、Mat. Curve Modeller のソルバー本体を起動する場合のgnuplot用スクリプトを出力する設定を示します。”-gpl” というオプションを追加するだけです。
グラフ作成
WSLのコマンドラインで gnuplot と入力することで、gnuplot が起動します。gnuplot がインストールされていない場合、sudo apt install gnuplot でインストールできます(Ubuntu Linuxの場合)。
前回の記事で作成したカーブデータをgnuplot でグラフ化するには、図3の赤枠に示すように load コマンドを入力します。Mat. Curve Modeller が出力する gnuplot 用スクリプトの拡張子は .script です。そのファイルを load コマンドで指定します。
図5に示すように、追加コマンドによって、グラフの装飾を調整可能です。図5では、縦軸、横軸のラベルをフォントサイズ14ptで追加し、凡例を unset key で削除しました。
まとめ
Mat. Curve Modeller とWSLの関係、Mat. Curve Modeller と一緒に使うと効果的なgnuplot の簡単な操作方法を示しました。コマンドラインでの作業を得意としている人にとっても、 Mat. Curve Modellerは効果的なソフトウェアです。
関連ページ/参考文献
●Mat.Curve Modeller:遅れて来たもう一つの材料データ作成ツール – 9
●Mat.Curve Modellerのページ