樹脂材料は引張塑性変形に伴い、非圧縮性を示しません。樹脂用材料構成則MAT_SAMP-1では、その現象を表現するために、「塑性ポアソン比」の入力が用意されています。塑性ポアソン比を考慮することで、樹脂部品の変形挙動を精度よく再現できるようになります。
右に示すグラフは引張および垂直方向のひずみの比(見かけポアソン比 Apparent Poisson's Ratio)を実験および解析結果を比較したものです。金属用材料構成則Mises(MAT_024)を利用した解析結果と比較して、MAT_SAMP-1は実験結果を精度よく再現していることがわかります。
(上)Mises構成則と試験結果(Exp.)の比較
(下)MAT_SAMP-1試験結果(Exp.)との比較
※試験では、デジタル画像相関法を利用し、 ひずみを評価しています。
【図2:使用した試験片】
(JIS K7113-2, t1.6mm)および 「見かけポアソン比」サンプリング点
(図中央 赤点、青点)
【図3:サンプリング点近傍拡大図】
参考文献
1. 竹越 邦夫, 丹羽 一邦:樹脂材料特性データ決定方法の検討, JSCES16(日本計算工学会 第16回計算工学講演会), B-7-1, 2011P. A. Du Bois
2. et al.: The Influence of Permanent Volumetric Deformation on the Reduction of the Load Bearing Capability of Plastic Components, Conference Proceedings in 10th International LS-DYNA Users Conference, 19-35/42, 2008
3. 竹越 邦夫, 丹羽 一邦:塑性ポアソン比の評価方法, CMD2011(日本機械学会 第24回計算力学講演会), OS3, 306, 2011
4. Kunio TAKEKOSHI, Kazukuni NIWA: Validation and Material Modeling of Polymers by Employing MAT_SAMP-1, Conference Proceedings in 12th International LS-DYNA Users Conference, Session_05-C, 2012