地震による免震建物の擁壁衝突シミュレーション

地震による免震建物の擁壁衝突シミュレーション

解析概要

設計地震動を超える場合の免震装置の非線形性やコンクリートのひび割れを考慮した免震原発建屋・擁壁地盤モデルの地震応答解析事例を示します。建屋と擁壁の衝突を考慮しています。

解析モデル

地盤をソリッド要素、建屋をシェル要素、内部コンクリート(I/C)および基礎版をソリッド要素、免振装置をビーム要素でモデル化しています。

解析設定 

自重負荷後に下部基礎版底面に地震波を水平2方向+上下方向(水平の2/3倍)に同時入力します。入力地震波には,日本建築センター模擬地震波BCJ-L2の3倍入力を用いています。

解析結果

加速度応答スペクトルを示します。青線はBCJ-L2の3倍入力地震波の加速度応答スペクトルです。紫線は建屋と擁壁の衝突(接触)を考慮しない場合のI/Cにおける加速度応答スペクトルです。緑線は建屋と擁壁間の衝突(接触)を考慮する場合のI/Cにおける加速度応答スペクトルです。建屋と擁壁間が衝突した場合、振動数2Hz以上(周期0.5s以下)で加速度応答スペクトルが上昇しています。

 

時刻30secでのコンクリートのひび割れコンタを示します。赤色は面内2方向ひび割れを、緑色は面内1方向ひび割れを、青色はひび割れ無しの場合を表しています。建屋と擁壁間の衝突により原子炉格納容器PCCV、格納容器周辺建屋REB及び擁壁の広い領域において面内 1方向及び面内2方向ひび割れが発生している様子が見られます。

 

 

まとめ

地震の発生により免震原発建屋が擁壁と衝突する場合のシミュレーションを実施し、建屋に発生する加速度や建屋の損傷について検討できることを示しました。

参考文献

石塚 道、星名 博文、丹羽 一邦、”地震による免振建物の擁壁衝突シミュレーション”、日本機械学会第24回計算力学講演会講演論文集、p.574-575、2011.

建築カテゴリの最新記事