樹脂材料のスプリングバック量は、ヤング率から推定されるスプリングバック量と比較すると、大きいです。この現象を表現するため、樹脂用材料構成則MAT_SAMP-1では損傷特性の入力が用意されています。図1に損傷特性の概念を示します。損傷特性を考慮することで、相当塑性ひずみの増加に伴い、損傷値dが増加し、ヤング率が低減します。
損傷特性を考慮した解析例を図2に示します。シャルピー衝撃試験の実施後、試験片の開き角度は平均131度でした。損傷特性を考慮した解析結果では開き角は119度です。一方、損傷特性考慮なしの場合、開き角は103度です。損傷特性の考慮によって、スプリングバック量の再現性が向上しています。
参考文献
1. 竹越 邦夫, 丹羽 一邦:樹脂材料構成則を適用したポリカーボネート部材の衝撃破壊解析, CMD2010(日本機械学会 第23回計算力学講演会), OS13, 1307, 2010
2. 竹越 邦夫, 丹羽 一邦:CAEシミュレーションにおける樹脂用材料構成則とその検証事例,シミュレーション, 29-4, 43/44, 2010