樹脂材料の破壊は、ひずみ速度、応力状態に左右されます。MAT_SAMP-1では、破壊塑性ひずみについて、「ひずみ速度依存性」および「応力状態依存性」を設定できます。ここでは、「応力状態依存性」を考慮した、面衝撃試験解析例を紹介します。
面衝撃試験は図1に示すような試験です。板材にストライカと呼ばれる先端が球状の棒を押し当て、貫通させます。ストライカにかかる荷重およびストライカ変位を計測し、破壊に要するエネルギ、破壊の様子などを評価します。
本事例では、板厚3.0 mmのポリカーボネート材、ストライカ径1/2 インチ、試験速度3.3 m/s の解析結果を紹介します。図2に「応力状態依存性」を考慮していない解析結果を示します。板中央から4方向に割れている結果となっています。図3に「応力状態依存性」を考慮した解析結果を示します。「ふた」が形成されていることがわかります。
ポリカーボネートのような延性材料では、面衝撃試験における破壊では「ふた」が形成されることが知られています[1]。本事例では、「応力状態依存性」を設定することで、「ふた」形成を伴う破壊挙動が再現できています。
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参考文献
成澤 郁夫著:プラスチックの耐衝撃性, p.83, 1994