ノッチ付シャルピー試験(JIS K7111-1/1eA)の破壊を解析した事例を紹介します [1]。材料はポリカーボネートです。
図1に示すように、試験を10本実施し、9本がヒンジ破壊となりました。シャルピー衝撃強さは77 (kJ/m3)でした。
シャルピー試験を解析するため、高速引張試験を実施し、以下の①②を決定しました。材料モデルには樹脂用材料構成則 SAMP-1 を使用しています。
①ひずみ速度依存性を考慮した「応力-ひずみ」関係
②ひずみ速度依存性を考慮した破壊ひずみ
材料データ①②の影響を調査するため、本事例では、次の3ケースを検討しています。
ケース(a) ①+②両方を考慮
ケース(b) ①のみ考慮
ケース(c) ②のみ考慮
衝撃強さを図2に示します。ケース(a)は試験結果とほぼ同じ結果となり、ケース(b)は過大評価、(c)は過小評価となっています。破壊の様子を以下のアニメーションで示します。ケース(a)および(c)では、ヒンジ破壊を再現できました。
一方、ケース(b)では、十分に亀裂が進展せず、ハンマーが逆方向に押し返される結果となりました。
①ひずみ速度依存性を考慮した「応力-ひずみ」関係
②ひずみ速度依存性を考慮した破壊ひずみ
衝撃強さの結果および破壊挙動の様子から、ノッチ付シャルピー衝撃試験を解析するには、上記①ひずみ速度依存性を考慮した「応力-ひずみ」関係だけでなく、②ひずみ速度依存性を考慮した破壊ひずみを設定することが重要と言えます。
(a)
(b)
(c)
参考文献
1. Kunio TAKEKOSHI and Kazukuni NIWA, “Study of Material Modeling of Polymers for Impact Analysis”, The 8th International Symposium on Impact Engineering (ISIE2013), to be published from Applied Mechanics and Materials in Sept. 2013