水入りボトル落下解析を題材に、LS-DYNAでALE法による流体構造連成解析をおこなった事例です。
従来のALE法の他、Ver.R9から利用可能なStructured-ALE(S-ALE)、Ver.R10から利用可能な ALEモデルからS-ALEモデルへの自動変換機能を使用した解析を実施し、挙動や計算時間を 比較した結果を示します。また、流体メッシュの動きを構造物に追従させる設定による影響についても確認しています。
Structured-ALE(S-ALE)について
S-ALEは、従来のALEより高速化されたソルバーです。また、入力データに流体メッシュが不要であり、計算時に流体メッシュを自動生成します。 通常、S-ALEモデルではキーワードで流体メッシュ領域を定義しますが、ALEモデルからS-ALEモデルへの自動変換機能により、流体メッシュが存在する従来のALEモデルをS-ALEソルバーで計算することができます。
モデル概要
水平な剛体床に対して水入りのボトルを5度傾けて配置し、 モデル全体に初速度4,000mm/sと重力加速度を作用させて落下解析をおこなっています。
解析結果
※1 追従設定 流体メッシュの動きを構造物に追従させる設定。
ALEモデルでは*ALE_REFERENCE_SYSTEM_GROUPで追従設定をしているが(Case1)、S-ALEソルバーでは当該キーワードを使用できないため、自動変換ケースでは追従設定ができない(Case4)。
S-ALEモデルでは*ALE_STRUCTURED_MESHで追従設定を行っている(Case2)。
※2 計算機環境:LS-DYNA R10.1.0 倍精度版、MPP 16並列
まとめ
・追従設定の有無により、水の挙動にやや違いが生じています。
計算時間は追従設定ありの方が 短くなっています。
・Case1とCase2、Case3とCase4を比較すると、S-ALEでは従来のALEとほぼ同じ挙動が得られており、
計算時間が短縮されていることが確認できます。
以上のことから、S-ALEはALE法による解析を簡便かつ高速に行う有用な手法であると考えられます。