CAEメールニュース(No.2017-10)
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┃CAEメールニュース(No.2017-10) 2017.10.20┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋テラバイト技術通信 1「OpenFOAM(R)のインストール サービス」
╋テラバイト技術通信 2「樹脂解析ソフトで使用される運動方程式」
【2】CAE技術情報
╋CAEソフトウェアを使いこなそう 第10回 最適化計算の構築
~ディスク非共有リモートジョブ~
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ テラバイト技術通信 1「OpenFOAM(R)のインストール サービス」------------------
流体等の連続体の挙動を解析するオープンソースコードOpenFOAMは、ライセンスを気に
することなく誰でも自由に使えるライセンスフリーの数値計算ソフトです。OpenFOAMを導
入する事で数値計算業務の効率を大幅に改善できるため、近年、右肩上がりでインストー
ルパッケージのダウンロード数が増えています。
一方で、OpenFOAMはLinux環境下での使用をメインとした設計になっているため、Linux
に慣れていない方は、パッケージまではダウンロードできたものの、インストールの段階
で躓いてしまうことが多いとの問題点も指摘されています。Linuxと一言で言っても、ディ
ストリビューションと呼ばれるいろいろな種類(UbuntuやRed Hat Enterprise Linux、
CentOS、openSUSE等)があり、正常にインストールするためには、マシン環境に合わせて、
それぞれ個別の対処が必要になるためです。
さらに、OpenFOAMを使うためにはコンパイラと呼ばれるプログラム(CMakeやGCC等)も必
要になるため、Linuxの種類に応じて、OpenFOAMをインストールするための環境を事前に
整えておく必要があります。どの様な環境が必要になるかは、OpenFOAMのバージョンと
Linuxの種類の組み合わせで異なり、公式ページで公開されているドキュメントやスクリ
プトと呼ばれるLinuxのコマンド文を丁寧に調べる必要があります。
Linuxに慣れていない方にとっては、事前の環境構築やインストール段階での調査に膨
大な時間を割かれことになるため、OpenFOAM導入を諦めてしまう原因になっている様です。
弊社は、OpenFOAMに関する様々なサービスを提供していますが、カスタマイズや受託解
析だけでなく、代理インストールやバージョンアップ時の環境設定の維持等、Linux関連
のさまざまな支援もおこなっております。
OpenFOAMのインストールでお困りの方は、ぜひ弊社までご連絡ください。
お問合せ----->https://terrabyte.co.jp/contact/contact-fo/contact_sformmail.php
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└■ テラバイト技術通信 2「樹脂解析ソフトで使用される運動方程式」----------------
一般的な流体解析ソフトでは、運動方程式としてナビエストークス方程式を利用してい
ます。これに対し、多くの樹脂専用ソフトでは、ストークス方程式を利用しています。ス
トークス方程式は、ナビエストークス方程式から移流項を削除した形式になります。
ストークス方程式を利用する利点として、収束処理の簡略化とタイムステップを大きく取
れる事による計算時間の短縮化が挙げられます。
粘度の高い熱可塑性樹脂やせん断速度依存で粘度が高くなる非ニュートン流体を薄い隙間
に流す解析では、ナビエストークス方程式とストークス方程式の解は、ほぼ等しくなりま
す。移流項を無視しても解が等しくなる理由は、移流項に比べ、圧力項が支配的になるた
めです。
具体的には、薄さ数mmの型に1m/sで射出する場合、マイナス2乗のオーダーの粘度[Pa・s]
があれば、ストークス方程式でもほぼ現象を再現できます。
一方、移流項を削除する事は、計算条件によっては解の精度低下を招きます。
移流項が無視できなくなるのは、射出速度が速い場合や、熱硬化性樹脂等の粘度が低い樹
脂を利用した場合、重力で樹脂が流れ落ちる現象を計算する場合等です。
また、上述の薄さ数mmの型に1m/sで射出する場合でも、ゲート近傍の流れは移流項が支配
的になるので、着目個所によっては注意が必要になります。
同じ樹脂の物性値を使った計算であっても、計算条件によっては、実現象を再現できなく
なる場合も出てきます。このため、解析対象がストークス方程式を利用しても問題ないか
は、ユーザー自身で判断する必要があります。
弊社では、樹脂解析者のためにストークス方程式を利用する場合の注意点など、実例を交
えて樹脂解析ソフトを利用するためのノウハウを説明するセミナーを開催しています。樹
脂ソフトを設計に生かせていない方や、今後樹脂解析を担当する予定の方に特化したセミ
ナーとなっております。
詳しくは、弊社のホームページをご覧ください。
セミナー詳細-----> http://www.terrabyte.co.jp/seminar/fluid_semi.htm
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└■ CAEソフトウェアを使いこなそう 第10回 最適化計算の構築
~ディスク非共有リモートジョブ~
前回までは、最適化ソフトが動作するローカルWindowsマシンとサンプリング解析を実
行するリモートLinuxマシンがディスク共有している状態で、最適化計算を行うスクリプ
ト(5月号に全体が記載されています)についてご説明しました。今回はさらに一般的な
計算環境として、WindowsマシンとLinuxマシンがディスク共有せず、単にネットワークで
つながっている環境下での最適化計算のためのバッチファイルとシェルスクリプトを紹介
します。
これをマスターすればほぼすべての環境で最適化計算の設定が行えるはずです(?)。
ディスク非共有の状態での実行のポイントは、リモートディスク上にサンプリング計算実
行用のディレクトリーを作成することと、そのディレクトリー内に、ローカルディスクに
ある入力データを転送し、計算実行後、出力ファイルをローカルディスクにもってくるこ
とです。入力ファイルを転送するバッチコマンドは以下のようになります。
001 @echo off
002 (途中省略)
003 set JOB_EXEC=job_lnx.sh
ここからファイル転送のためのコマンド
004 ssh mkdir -p -m 777 %REMOTE_DIR%
005 ssh mkdir -p -m 777 %REMOTE_DIR%/%JOBNAME%
006 tar cf input.tar %INPUT% 2> nul 1> nul
007 :L1
008 if "%6" == "" goto L2
009 tar rf input.tar %6 2> nul 1> nul
010 shift /6
011 goto L1
012 :L2
まず3月号で紹介したバッチファイルの変数の定義の後、ジョブを実行する前にリモート
ディスク上にワークディレクトリーを作成します(上の4~5行)。
ここで変数%REMOTE_DIR%、%JOBNAMEにはそれぞれ親ディレクトリー名、子ディレクトリー
名が設定されています。子ディレクトリー名は複数ジョブを同時実行する場合に必要にな
ります。6行目で入力データを転送するためにアーカイブファイル(input.tar)を作成し
ます。%INPUT%には入力ファイル名が入ります。ここで、2> nul 1> nulはtarコマンドの
不要な出力を表示しないためのおまじないです。7~11行目は実行に必要なファイルを
アーカイブファイルに追加します。例えばLS-DYNAの入力データの場合、インクルードファ
イルがある場合は8行目にある変数%6にファイル名が入ります。10行目のshift /6は
変数%6を何度も使いまわすことを意味します。すなわちインクルードファイルが複数あっ
ても7~11行目間のループで、インクルードファイルがアーカイブファイルに追加され、
8行目で%6の中身が空になるまでファイルが追加されます。Linux上でジョブを実行する
シェルスクリプトもこのループの中でアーカイブファイルに追加することができます。
このときのコマンドライン引数はこんな感じになります。
メイン入力データ インクルードファイル1 インクルードファイル2 ・・・ 実行用
シェルスクリプト
追加するファイルがなくなったら(8行目で%6の文字列がなくなったら)処理が12行目に
移ります。
(以下、次号に続く)
(S.T.)
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└■ CAEセミナー・イベント情報----------------------------------------------------
当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。
□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 基礎トレーニングセミナー
(10/25 東京) ※Anybodyの学生ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semiN.htm
□ 樹脂流体解析スキルアップセミナー(10/27 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/fluid_semi.htm
□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 紹介セミナー (11/10 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm
□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (11/10 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm
□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「LS-DYNA有限要素法基礎知識」(11/16 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm
□ 汎用熱流体解析ソフトウェア「AcuSolve」 紹介セミナー (11/17 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm
□ ブロー成形・樹脂シート熱成形プロセス解析ソフトウェア
「BlowView」/「FormView」紹介セミナー (11/28東京)
http://www.terrabyte.co.jp/BlowView/seminar1.htm
□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (12/5 東京)
※当社のLS-DYNA/JVISION保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm
□ 電磁界解析ソフト「INTEGRATED 電磁界ソフトウェア」 無料体験セミナー (12/6 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm
□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (12/7 東京)
※当社のLS-DYNA保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm
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└■ エッセイ「読書の秋?」-------------------------------------------------------
ようやく、夏の日差しも和らぎ秋らしい爽やかな日が続いていますが、皆さまお元気にお
過ごしでしょうか?
私は体育の日ということもあり、子供とアスレチックのある公園で遊んできました。
子供がハチが飛んでいると怖がっているので、見てみるとお腹が長細くくびれたハチが飛
んでいました。狩人蜂と呼ばれる蜂の一種です。皆様は狩人蜂をご存知ですか?
私は小学生の頃に読んだファーブル昆虫記に書いてある狩人蜂を思い出しました。(今、
AMAZ○N で購入して子供に読ませようと試みています^^;)狩人蜂は、正確に虫の神
経系に針を打ち込み、麻痺させます。その後、動けなくなった虫に卵を産み付けてエサに
してしまう蜂です。動けなくなった虫はなぜか腐らず、動かないことを除いてまるで生き
ているかのようです。そこで、ファーブルはその動けなくなった虫が生きているのか?を
電流を流して確かめるといった実験や、虫の神経にアンモニアを注射して麻痺状態になる
かの実験をします。(虫の大きさに対してのアンモニアの量や虫の神経系統によっては、
まったく効果が無い または死んでしまう。)ファーブル昆虫記が出版されたのは、ファー
ブルが55歳の時です。全10巻を出すまでに約30年かかりました。(84歳!)子供の頃から
興味のある昆虫について、様々な実験を思いついて(実験を失敗する度に新しい実験方法
を思いつくところが素晴らしい!)その虫の本能を解き明かすのですが、何といっても継
続力が凄い。継続は力なり。私も見習いたいものです。
K.Kawase
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└■ 購読者アンケート ------------------------------------------------------------
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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・ ・
今月は、私の好きなイラストレーターが来日しているので、そのイベントに参加する予定で
す。ライブペイティングやクラフトタイムなどあり、芸術の秋を楽しんできたいと思います。
E.Ikeda
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☆ 発行:(株)テラバイト 東京都文京区湯島3-10-7 NOVビル5F 編集担当:池田 絵美
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