CAEメールニュース(No.2018-3)

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┃CAEメールニュース(No.2018-3)                   2018.3.22┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋テラバイト技術通信 1「OpenFOAM解析事例紹介(1)~シートの樹脂発泡成形~」
╋テラバイト技術通信 2「AnyBodyの人体モデルについて」
【2】CAE技術情報
╋CAE解析のトピック Q&A 2
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ テラバイト技術通信 1「OpenFOAM解析事例紹介(1)~シートの樹脂発泡成形~」

車などのシートの成形方法には、化学反応により発泡するウレタン樹脂の特徴を利用した
発泡成形があります。発泡成形では、金型内に空気が取り残される空洞領域(ボイド)が
発生してしまう問題があります。熱流体解析を行えるオープンソースのOpenFOAMを使って、
ボイドの発生場所を解析によって調べた事例を紹介します。

発泡解析事例:http://www.terrabyte.co.jp/OpenFOAM/exe-OF/of-sample18.htm?cae

ボイドの発生を回避するためには、樹脂をシート内のどこに配置するか、空気が抜ける位
置 (ベント)をどこに作成するか、ボイドができにくい金型の形状になっているか、な
どを 検討する必要があり、これらを解析によって評価できます。金型を作成する前にコ
ンピュータ上でケーススタディが可能です。上記URLにある事例では、ベントを変更した
ことによるボイドの発生場所を比較しています。

解析には当社で開発を行ったOpenFOAMのアプリケーションを用いています。主に、以下の
ような特徴があります。
1.自由表面解析
OpenFOAMの自由表面解析をベースとしており、空気と樹脂の両方を解きます。このため、
空気の流れも計算しており、ボイドを精度よく求めることができます。
2.テラバイト独自の発泡モデル
オープンソースであることを活かし、Kamalモデルに基づいた弊社独自の発泡モデルを
導入しています。このモデルでは、発泡試験結果などから樹脂の反応速度の変化を表現
し、樹脂の体積膨張やそれに伴う流動及び流動停止を再現します。化学反応の詳細など
現象の細部まではモデル化せずに支配的な部分のみをモデル化することで、計算負荷を
かけずに計算できるモデルとなっております。「支配的な部分のみをモデル化する」た
めには現象の理解と理論との対応及び数値実験が必要になります。

発泡解析に限らず様々な熱流体解析を行っていますので、是非、当社HPもご覧下さい。
http://www.terrabyte.co.jp/example/analysis_sample-flo.htm?cae

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└■ テラバイト技術通信 2 「AnyBodyの人体モデルについて」————————-

AnyBody Modeling Systemは、人間の筋骨格をモデリングした人体モデルを用いて、動作
における、筋肉に発生する力(筋力)や関節にかかる力(関節反力)の推定を行うソフトです。
解析の基本となる人体モデルはAnyBodyに用意されているため、一から作成する必要はご
ざいません。
人体モデルは大きく3つの要素で構成されています。
1つ目の要素は重さ(=重心)と慣性モーメントが設定されている剛体を表し、骨のモデル化
に用いられるセグメントです。
セグメントには固有の座標系(ローカル座標系)とそれに従属する点座標(ノード)があり、
ローカル座標系におけるノードの位置は変化しません。これらのノードを参照して関節や
筋肉が作成されています。
2つ目の要素は、セグメントの位置関係を制限することで自由度を拘束し、関節を構成す
るジョイントです。
セグメントは拘束が無い場合、6自由度(3並進+3回転)あります。
関節を構成するセグメント間のノードの並進を制限することで、肩関節や股関節を構成す
る球関節(3回転)、並進と2軸回転を拘束することで、肘関節や膝関節を構成する蝶番関節
(1回転)が作成されています。
3つ目の要素は動作を行うために必要となる力を発揮する筋肉です。
AnyBodyにおける筋肉は、起始・停止のノードに加えて、経由するラッピング面などを指
定して作成され、逆動力学解析では関節が行った運動に必要な力を計算します。
筋肉には筋の長さによらず、一定の収縮力のみを持つ単純なモデルや筋の長さに応じて、
収縮力が変化したり、伸張されることで張力を発揮する、実際の筋肉に近い働きをするモ
デルがあります。
つまり、人体モデルは骨を表す剛体(セグメント)、剛体同士が点でリンクすることによっ
て位置関係を拘束する関節(ジョイント)、力要素としての筋肉、の3つの要素で構成され
ています。
AnyBodyによる解析に興味がありましたら、当社が開催している紹介セミナーにご参加く
ださい。

AnyBody紹介セミナー ―>
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm?cae
AnyBody詳細 ―>
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_1.htm?cae

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└■ CAE解析のトピック Q&A 2—————————————————–

<Question>
材料非線形、大変形、接触問題、衝撃問題の解析を実施したいのですが、参考となる教科
書や資料を教えてください。

<Answer>
有限要素法による非線形構造解析に関する参考書としては次のものが挙げられます。
【有限要素法について】
(1)小寺秀俊:塾長秘伝 有限要素法の学び方!
設計現場に必要なCAEの基礎知識,日刊工業新聞社(2012年)
(2)石川博幸,青木伸輔,日比学:解析塾秘伝 有限要素法のつくり方!
FEMプログラミングの手順とノウハウ,日刊工業新聞社(2014年)
(3)東町高雄:有限要素法のノウハウ,森北出版(平成5年)
(4)三好俊郎:有限要素法入門改訂版,培風館(平成6年)
(5)吉野雅彦:Excelによる有限要素法入門,朝倉書店(平成14年)

有限要素法の基本的な内容は上記の参考書を読むことで理解できると思います。
(1)の書籍には、有限要素法の基本的な考え方から衝撃解析に用いる動的陽解法の基礎ま
でが説明されており、参考になります。
特に計算手法の理解を深めるためには、書籍に掲載されている例題等を自ら作成して確認
することが有用です。(2)の書籍には、VBAを使用した例題が紹介されています。

【材料モデルについて】
・弾塑性材料
(6)小坂田宏造:応用塑性力学 弾塑性変形の力学と有限要素解析,株式会社培風館
(2004年)
(7)富田 佳宏:弾塑性力学の基礎と応用,森北出版(平成7年)
(8)吉田総仁:弾塑性力学の基礎,共立出版株式会社(1997年)

塑性変形は材料非線形の一つであり、金属加工等において重要です。引張試験等から得ら
れた加工硬化特性を入力データに適切に変換し、考慮するために、弾塑性力学の知識が有
る事が有用です。(8)の書籍は弾性体の復習から等方性弾塑性構成式の導出までが示さ
れており、プレス加工を題材とした例題も掲載されています。参考になると思います。

・超弾性材料(ゴム等)
(9)石川覚志:解析塾秘伝 ゴムの有限要素法の学び方!
超弾性体の基礎理論と実践,日刊工業新聞社(2015年)

ゴム等の超弾性材料は、非線形の弾性変形を生じ、ほぼ非圧縮である事が知られています。
これらを表すための構成式が(9)の書籍に紹介されており、参考になります。

【大変形問題および接触について】
(10)石川覚志:解析塾秘伝 非線形構造解析の学び方!
超弾性体の基礎理論と実践,日刊工業新聞社(2015年)

飛び移り座屈等の大変形を伴う問題には、回転を伴う変形による剛性の変化が寄与します。
(10)の書籍では、回転する棒を例に簡単な説明がなされており、参考になります。また、
接触計算の手法についても、棒の接触の簡単な例題を用いて解説されており、参考になり
ます。

【衝撃問題について】
(11)日本機械学会編:衝撃破壊工学、技法堂出版
(12)石川信隆・大野友則・藤掛一典・別府万寿博:
基礎からの衝撃工学 構造物の衝撃設計の基礎,森北出版株式会社(2009年)

衝撃解析では、応力波の伝播を計算する為、応力波について理解することは、解析条件・
解析結果を理解する助けになります。
また、材料強度のひずみ速度依存性を考慮することも重要です。
(11)および(12)の教科書では、応力波の伝播・反射について1次元の基礎的な問題を
例に解説されており、参考になると思います。また、ひずみ速度依存性についても解説さ
れており、モデル化の助けになると思います。(11)は、現在(2018年3月)絶版となって
いますので、古書店等でお求めください。

※2003年7月号に掲載された記事に加筆、修正を加えております。

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└■ CAEセミナー・イベント情報—————————————————-

当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。

□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (4/3 東京)
※当社のLS-DYNA/JVISION保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm?cae

□ 電磁界解析ソフト「INTEGRATED 電磁界ソフトウェア」無料体験セミナー (4/4 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm?cae

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (4/12 東京)
※当社のLS-DYNA保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 紹介セミナー (4/13 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm?cae

□ 「基礎構造講座」-衝撃工学の基礎-(4/17・18 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/strcture_semi.htm?cae

□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (4/18 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm?cae

□ 汎用熱流体解析ソフトウェア「AcuSolve」 紹介セミナー (4/20 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm?cae

□ ブロー成形・樹脂シート熱成形プロセス解析ソフトウェア
「BlowView」/「FormView」紹介セミナー (4/24 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/BlowView/seminar1.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 基礎トレーニングセミナー
(4/25 東京) ※Anybodyの学生ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semiN.htm?cae

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「塑性加工技術セミナー 応用編」(4/26 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm?cae

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└■ エッセイ「春分の日」———————————————————

春の兆しが見えてきた今日この頃ですが、皆さまお元気でしょうか?
私は久々の祝日(春分の日)に春を感じたかったのですが・・・雪が降っており、冬の気
配濃厚な1日を堪能致しました。^^;)
2月中旬以降、日本では春一番が吹いた日は気温が上昇、翌日以降はまた寒くなる気象現
象を「寒の戻り」と呼んでいます。温度差による体調不良に注意されて、皆さまが楽しい
花見ができることを祈っています。
・・・私はその前に花粉症を乗り越えなければなりませんが・・・
K.K
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└■ 購読者アンケート ————————————————————

購読者様へCAEメールニュースについてのアンケートをお願いしております。
ぜひご協力ください。

http://www.terrabyte.co.jp/example/mailnews/mailnews_sformmail.php

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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・ ・
少々暖かくなってきたこの季節、昨年は家の近辺至る所にポピーが咲いていました。アス
ファルトの隙間やら色々な場所に咲いていたので気になりました。少し早いですが、密かに
今年も楽しみにしているところです。
E.Ikeda
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