FT4レオメータによる粉体キャリブレーションへの活用

FT4レオメータによる粉体キャリブレーションへの活用

EDEMのキャリブレーション事例を紹介します。本事例では、粉体の流動性を調べるためのFT4パウダーレオメータによる試験を対象とします。

円筒状の容器に粉体材料を充填し、ブレードを回転させながら上下に攪拌する試験です。インペラブレードにかかる力とトルクの測定結果から、基本流動エネルギー(Basic Flow Energy:BFE)、及び比エネルギー(Specific Energy:SE)を流動性の指標として使用します。また、容器内のバルク密度や空隙率も測定できます。
一方、EDEMでFT4パウダーレオメータの解析を行う場合、粒子に設定する密度や粒子間の反発係数、摩擦係数、転がり摩擦係数の設定値によって、解析結果が変化します。粉体材料の物性特性を解析で再現するためには、これらの試験結果で得られたBFEやSEを再現できるEDEMの設定パラメータのキャリブレーションを行うことが重要です。

今回は、EDEMとHyperStudy、RapidMinerを連携して行った事例を紹介します。入力(設計変数)と出力(目的関数)は以下の表とし、次の手順で行います。

  1. 学習データ作成:EDEMとHyperStudyを連携し、EDEMの解析を複数ケース実施して、入力と出力の組合せの学習データを作成します。
  2. 予測モデルの構築:学習データを使用して、RapidMinerで予測モデルを構築します。
  3. パラメータ同定:構築した予測モデルを使用し、HyperStudyで目的の出力が得られる入力をパラメータ同定します。

最後に、同定した入力パラメータを用いてEDEMの計算を行い、ターゲットの目的変数に近い結果が得られることを確認しました。結果は、以下の表に示します。
今回、1.で用意した学習データは、30ケースです。学習データを増やすことで、より精度の高い結果が得られると予想されます。

 

また、AIにより予測モデルを構築することで、EDEMで計算実行するよりも計算時間の短縮が見込めます。

1ケースの計算時間 逆解析の実行時間
EDEM 約1.5時間 約3日
予測モデル 数分程度 約2時間

まとめ

以上により、FT4レオメータの試験結果から、EDEMの設定パラメータの同定(キャリブレーション)を行う手法を構築しました。また、AIを活用した予測モデルの構築により、大幅な計算時間の短縮を実現しました。

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